トヨニシファーム
帯広市豊西町にあるトヨニシファーム。
ここトヨニシファームでは、小倉さんと従業員15名の手によって、
和牛・ホルスタイン合わせて約4200頭が育てられています。
また、牛舎の隣ではにんにくが栽培されており、夏には青々としたにんにく畑が広がっています。
トヨニシファーム4代目の小倉修二さん
小倉さんは、一風変わった農家さんです。
ただ牛を育てるだけではなく、マーケティングやネット販売など「農家さんがそこまでやるの!?」ということまで自分で勉強して実行する、とてもバイタリティ溢れる人物なのです。
食べ方も知っている
小倉さんは大学を卒業後した後、群馬県の食肉の専門学校に入学し、基礎的な知識と大切な仲間を得て、京都の食肉販売会社に入社しました。
そこで、食肉の切り方や販売知識などなど、様々なことを学んだそうです。
なので、牛を育てることはもちろん、牛肉を美味しく食べる秘訣でもある「切り方」も熟知しています。
もちろん、美味しく食べる焼き方も。
牛たちの様子
雪の中に立ち並ぶ牛舎
トヨニシファームでは、牛の月齢に合わせて牛舎を変えています。
様々な月齢の牛達を見ていると、なんだか牛の一生を見ているような気持ちになりました。
生後数週間の仔牛たち。ゴールデンレトリーバーより一回り大きいくらい。
子牛達は授乳機のある牛舎に集められ、首につけられたタグで
一頭一頭、飲むミルクの量が管理されています。
出荷直前の成牛。カメラに興味津々。
成牛達は、がっしりとしたごっつい肩幅に、もりもりとついた筋肉、
成人男性ほどもある背丈で、圧倒的な存在感です。
先ほど見た子牛と比べると、まるで幼稚園児とボブサップ。
手を舐められたときの、ザリッとした感触と温かさに、零下10度の中で痺れました。
死と向き合う
肉牛の成長には、出荷という死が隣り合わせで存在しています。
農家の人は、どういった感情で牛と過ごしているのでしょうか。
「牧場で育てている間は、ペットに対する愛情と似ています。
愛情込めて育ててあげて、立派な肉牛に育って、
よし、という喜びがあって。その(屠畜場に連れて行った)後、
死ぬとかっていうのは、あまり意識してないな。
そういうところを考えちゃうと、やっぱり矛盾が出てきてしまうので、私たちはあるところで割り切るしかありません。育てていく中で、例えば病気とかで死んじゃうと
なんというかこう、やるせない気持ちになります。
そこはペットが亡くなったときと同じなんじゃないかな。
分かり易く説明するのは難しいですが、私達もその点については複雑な心境と言うのは確かです。」
予定よりも1ヶ月早産で生まれた子牛。
首にはスタッフがかけたネックウォーマーが。
小倉さんとトヨニシファームのこれから
小倉さんに少しインタビューをしてみました。
――農家をしていて、嬉しい時はどんなときですか?
「生産物がお客様に評価されたときですね。
愛情をかけて育てて成長してくれたときに、どんな肉質になっているかは
実際に見るまでわからない。
わからないからこそ、良い肉質だって評価されたり、食べたときに『美味しい』と言っていただくと、とてもうれしいです。」
――逆に、農家をしていて、悲しい時はどんなときでしょうか?
「やっぱり牛が病気とかで亡くなっちゃったときかな。」
――将来、こんなことをしたい、ということはありますか?
「手間がかかって、ちょっと面倒だと思うようなことをたくさんやりたいです。
オリジナルの加工品を作ったり、お客様とコミュニケーションをとったり。
それと、世界の人々に日本の食肉の文化を広めたいです。
特に、和牛は日本独自のものですしね。」
最後はとびきりの笑顔を見せてくれました。
肉の加工もしていた小倉さんは、美味しいお肉の食べ方・部位・切り方にとても詳しいです。
先日、小倉さんに譲ってもらったハツ(牛の心臓)の塊を分厚く切り、ステーキにして食べました。
(小倉さんおすすめの食べ方!)
ほど良くのった脂と、ハツのギュギュッとした食感が癖になる、目からウロコの美味しさ!
肉は切り方によって食感が大きく変わってしまうそうです。知らなかった!
他にも、アキレス腱がもちもちっとしていて美味しいとか、ホルスタインに比べて和牛の方がホホ肉やタンはプリッとしている等々、色々とオイシイ話を教えてくれました。
そんなお肉マスターがいるお肉屋さん。
実現を楽しみにしているのは、私だけではないと思います。